SEO記事はChatGPTで作成できる?利用してわかった生成AIの現在地点

はじめまして!WebディレクターをしているAoと申します!
社内では自社サービスにおけるプロモーションサイトの制作進行を中心に担当しているほか、前職でSEO流入を目的としたコンテンツ制作をおこなっていたこともあり、SEO対策に興味・知見があります。
近年、AI技術の急激な発展により「SEOは終わった」「SEOはオワコンだ」などと言われているのはご存じでしょうか?SGEと呼ばれるGoogle検索の新機能の登場や、生成系AIの精度向上によるコンテンツ量産がおこなわれることによって、SEO対策に従事していた人たちの仕事が奪われるのでは、と危惧されています。
そこで今回はChatGPTを利用して、SEO流入を目的としたSEOコンテンツの作成を実際におこなわせることで、AIに仕事を奪われる可能性が本当にあるのか確認してみます。
 
※本記事は2023年11月末時点の情報を元に執筆をおこなっています

ChatGPTにSEOライティングをおこなわせた感想

早速ですがChatGPTを利用してSEOライティングをおこないました。なおChatGPTのバージョンはChatGPT4を利用しています。

それっぽい文章はすぐ作れる、が…

以下は実際にChatGPTで生成した文章です。
なお記事のテーマは、弊社が運営している介護事業所向けのWebメディア「けあタスケル」から、「2021年に行われた介護報酬改定」についてとしています。
2021年の介護報酬改定は、日本の介護サービスの質の向上と効率化を目指し、多くの点で介護サービス提供の枠組みが見直された重要な改定でした。この改定による主な変更点は以下の通りです:
 
1.サービス提供体制の強化
介護職員の処遇改善やキャリアパスの充実を目指して、職員の研修や教育、スキルアップを支援するための報酬体系が改訂されました。介護職員の定着促進や専門性の向上を目指しています。
2.地域包括ケアシステムの推進
地域密着型サービスを強化するための措置が導入され、地域に根ざした包括的な介護の提供体制の構築を目指しました。
3.効率的なサービス提供
 業務効率化を推進し、質の高いサービスの維持を目指すための仕組みが取り入れられました。これには、情報技術を活用したサービス提供方法の導入などが含まれます。
4.利用者ニーズへの対応
高齢者の多様なニーズに応じたサービス提供を目指し、個別化されたケアプランの策定やサービス提供が重視されました。
5.介護報酬の見直し
サービスの質や提供体制に応じた介護報酬の見直しが行われ、質の高いサービス提供に対するインセンティブが設けられました。
 
これらの改定は、高齢化が進む日本社会において、持続可能で質の高い介護サービスを提供するための重要なステップであり、介護サービス提供者、利用者、そして関連するすべてのステークホルダーにとって重要な影響をもたらしました。
 
一見するとこれだけで記事が完成しているようにも見えますが、実際に記事を読んでいくと要領を得にくい回りくどい表現が続いたり、具体性にやや欠けたりする表現が目立ちます。
 
また、主な変更点としてあげられている5つの項目の中には「サービス提供体制の強化」と「効率的なサービス提供」など、重複しているようなものも見受けられます。2021年の介護報酬改定で実際に何がおこなわれたかを検索してみると、以下の5つがあげられており、情報の正確さも怪しいことがうかがえます。
  1. 感染症や災害への対応力強化
  2. 地域包括ケアシステムの推進
  3. 自立支援・重度化防止の取組の推進
  4. 介護人材の確保・介護現場の革新
  5. 制度の安定性・持続可能性の確保
参考:けあタスケル「2021年介護報酬改定の総まとめ!これさえ見れば間違いない!!
  :介護の人事労務ナビ「【2021年度介護報酬改定】徹底解説!注目ポイント総まとめ
 
以上の点から、ChatGPTで生成したコンテンツは、一見するとそれっぽいものにはなっているものの、深く読むと違和感があったり、情報に怪しい部分があったりと、そのままコンテンツを利用するにはやや力不足であることがわかりました。
 

タイトルのアイデア出しには有効

一方でChatGPTの利用が有効だと感じたのは、記事のタイトルの生成です。
以下はChatGPTに「2021年に行われた介護報酬改定について解説する記事のタイトルを5つ提案してください」と指示して生成されたタイトルです。
  • 2021年介護報酬改定の全貌:新時代の介護サービスへの道筋
  • 介護の未来を形作る:2021年の介護報酬改定のキーポイント
  • 変革の時:2021年介護報酬改定による業界への影響と展望
  • 質の高いケアを目指して:2021年の介護報酬改定の理解と対応
  • 新たな挑戦と機会:2021年介護報酬改定の概要とその意義
掲載するサイトの雰囲気にあわせたり、キーワードによりマッチした言葉を使ったりする必要はありますが、さまざまな角度からタイトルを提案してくれ、アイデア出しにはもってこいといえそうです。

SEOライティングにAIを活用する際の注意点

今回実際にSEOライティングをChatGPTにおこなわせた結果、3つの注意点があると感じました。以下ではそれぞれについて詳細に解説していきます。
 

最低でもGPT-4を利用する

ChatGPTを活用してSEOライティングをおこなうなら、GPT-3.5ではなくGPT-4を利用することをおすすめします。以下は実際にGPT-3.5とGPT-4にて同じ質問から文章を生成してもらった際の結果です。
 
両方を見比べてみると、GPT-4のほうが比較的文章が自然で情報の精度が高いことがわかります。たとえGPT-4を使ったとしても、そのままSEOコンテンツとして活用できるほどクオリティが高いわけではありませんが、AIに任せられる範囲は広がると考えられます。

情報が正しいかどうか必ず確認する必要がある

ChatGPTで生成されたテキストは、情報が正しいかどうかの判定をおこなっていません。たとえAIが断定口調で言い切っているテキストだとしても、情報が誤っていたり、そもそも存在しない単語について説明している可能性があります。
 
そのため、生成したテキストのクオリティが高く感じたとしても、情報の裏付けや専門家による校閲は必ずおこなう必要があるといえるでしょう。

比較的新しい情報は盛り込むことができない

GPT-3.5とGPT-4の学習データは2021年9月までのものが使われているとされています。そのため、2021年9月以降に起きたことは回答できず、今では常識とされるようなものでも情報が不足している場合があります。
 
ただし、ChatGPTの開発元であるOpenAIが2023年11月6日におこなったカンファレンスにて、GPT-4のアップグレード版である「GPT-4 Turbo」を発表し、GPT-4 Turboでは2023年4月までの学習データをもとにトレーニングされていることを明らかにしました。そのため、今後も定期的に学習データのアップデートはおこなわれていくものと推察できます。
 
なお、GPT-3.5とGPT-4に学習期間外であるはずの2022年の出来事について質問してみたところそれぞれ以下の回答を得られ、恐らくGPT-4にも学習データのアップデートがおこなわれていると考えられます。
 
参考:ACES Meet「OpenAI、次世代のChatGPT「GPT-4 Turbo」を発表。最大128,000トークンが読み込め、料金は半額以下に

AIの登場でSEOは今後どうなる?

AIの登場によりSEOにはどのような影響があるのでしょうか?あくまで私個人の意見ではありますが、予想をしてみたいと思います。

キーワード選定などの業務は効率化が期待できる

キーワード選定やカテゴリ分けといった業務にはかなりの時間がかかるため、効率化に向けて頭を悩ませている担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし今後はChatGPTやAIを活用することで、これらの業務を効率化することができるかもしれません。
 
現段階でも、ChatGPTにターゲットするキーワードと関連するキーワードを提案してもらえたり、網羅したキーワードを検索意図ごとに分類してもらうことなどが可能です。将来的にはキーワードプランナーのデータを読み込ませることで予測の精度をあげることや、ターゲットキーワードをひとつ与えるだけで、すべてのプランニングをおこなってもらえるようになることもあるかもしれません。
 
また、自分では気づかなかった検索ニーズやコンテンツの切り口に出会える可能性もあるでしょう。

ライティング業務はまだまだAIには任せられない

既に世の中に情報が豊富で検索ボリュームの大きいキーワードであれば、AIによる生成でも十分かもしれませんが、検索ボリュームの低いロングテールワードであれば、ユーザーの検索意図を完璧に見抜いた記事生成をするには参考にする情報が足りなくなるのではないでしょうか。
 
また、学習データのアップデートに今後も一定のラグが生まれるのであれば、最新のトレンドを追いかけることは難しく、AIではカバーできない領域がどうしても生じてしまう可能性があります。

コンテンツの専門性・独自性がより重視されるようになる

今後さらにAI技術が発展し、情報の正確性が担保され、文章の違和感がなくなった場合、コンテンツのクオリティは横並びになることが予想されます。そうなったときコンテンツの差別化は専門性や独自性の有無といった部分がポイントになるでしょう。
 
今後のコンテンツ制作は、AIでは解決できないニッチな悩みに対して、深い専門知識をもとにしたアドバイスや、自身の体験に基づいた知見を提示してあげることが大切になると考えられます。

まとめ:ユーザーに役立つコンテンツを作ることは変わらない

実際にChatGPTでSEOコンテンツを作成してみると、クオリティはまだまだ不十分とわかりました。
 
今後さらなる技術の発展によりクオリティが上がる可能性はありますが、より専門的でより独自性のあるコンテンツを作成すれば、AIには生み出すことができない情報を発信することでき、十分に対抗していけるでしょう。
 
何よりもSEOコンテンツ作成の本質は、ユーザーが本当に求める情報を提供してあげることに尽きます。AIの登場によりコンテンツ作成のプロセスは変わるかもしれませんが、本質は全く変わりありません。情報の発信に真摯に向き合い、ユーザーの信頼を獲得できるメディア作りを意識していきましょう。
DXO株式会社

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